ムスメの一時帰国3 ハハの混乱
お悔やみの電話がかかるようになってきた。家族とハハの特に親しかった友人たちにしか知らせていないのだが、それでも人のツテで心のこもった電話がかかってくる。
家の電話にかかってくれば、私が出て説明ができるのだが、ほとんどハハの携帯にかかってくる。そうするとムスメとしては万事休すと言う気持ちになって、電話するハハの隣に何となくいたりするようにした。ハハはチチが亡くなったことを覚えていないからだ。
電話の相手がチチのことを言うと、ハハは得意になって「立って1時間も話す」とか「不平不満を決して言わないで安定している」とか話したりするのだ。あんまりそれが長くなると電話の相手も戸惑うので、途中でムスメが代わりに事情を説明することになる。そうすると
「え?パパ死んだの?」
「いつ?」
「私会いに行った?」
「誰に聞いたの?」
「お葬式はいつ?」
と質問攻めにあう。
それを電話がかかる度に繰り返した。