minnesotakkoの日記

国際遠距離介護の記録

2018-08-01から1ヶ月間の記事一覧

ムスメの一時帰国13 ハハの自立

友人の友人でモンテッソーリ教育を認知症の高齢者に取り入れている人に会った。元々は幼児教育が専門だったが、義母の認知症をきっかけに研修を受けたそうだ。 モンテッソーリ教育の真髄は「子供の自発性」を重要視することにあり、認知症の高齢者にとっても…

ムスメの一時帰国12 ハハとお金

チチが死んだ。葬式を済ませた。遺族年金の請求もした。家を片付けた。一緒に食事をした。一緒に買い物に行った。 しかし、何をしていても、ハハの話はムスコがお金を盗んで生活費を全くくれない、という妄想と遺族年金で暮らしていけるかどうかの不安に集約…

ムスメの一時帰国11 セルフレジに戸惑う

東京は半年ぶりだったムスメが、今回戸惑ったのはセルフレジなるものだった。 スーパーで買い物をして現金で払おうとすると、「〇〇番に飛ばしますね」と言われた。飛ばしますね、と言われても何の事やら晴天の霹靂である。何をどう飛ばすのかと思ったら、会…

ムスメの一時帰国10 日本語の妙

ハハと近所を歩いていたら、ハハの友人にばったり出会った。どうやら久しぶりに会ったらしい。 その友人が「パパ(チチのこと)は遠くに行ったんだって聞いたけど」とハハに言った。ハハは涙ながらに「長い老人ホーム生活だったし、苦しくなくて静かに旅立っ…

ムスメの一時帰国9 ハハと運転免許

ハハが運転をしなくなって2年になる。免許停止になったまま出席すべき講習に出ていないのでそのままになっている。はずだとムスメは思っていた。 が、ハハとハハの妹(ムスメの叔母)が電話で話をしているのを聞いて急に不安になった。ハハは運転免許証を「…

ムスメの一時帰国8 ハハと台所

ハハはもう料理をしなくなった。鍋を黒焦げにした前科があるので、ムスコがガスを止めて久しい。 主人を失った台所は薄汚れていた。食材は期限切れのものが散財している。丸大豆醤油になたね油、オリーブオイルにケチャップ、めんつゆに酢など生協の宅配であ…

ムスメの一時帰国7 ムスメ胃腸をやられる

ムスメの胃腸が悲鳴を上げた。 酷暑に湿度、ストレス、時差ボケ、実家の片付け、事務手続き等々忙しすぎた。それに加えてハハの瘴気にやられたに違いない。チチが亡くなったことはやっと定着した。が、葬式をしたこと自体が定着していないので、毎朝パニック…

ムスメの一時帰国7 ハハとゴミの分別

朝、玄関のベルが鳴ったので出て見たら、区の清掃局の調査員と名乗る男性が二人立っていた。手にはゴミ袋を下げている。そのゴミ袋の中にはハハの苗字がくっきりと書かれたハガキが入っていた。 調査員が説明するところによると、近所からクレームが出たとい…

ムスメの一時帰国6 泥棒は人殺しへ

ハハはまだチチの死を完全には理解していない。 葬儀を行ったことは全く覚えていないし、当然葬儀に誰が来てくれたかも覚えていない。 家の祭壇をみて、「お葬式はしたの?」「どこでしたの?」「誰が来たの?」とムスメにきく。ここまでくると、ムスメは地…

ムスメの一時帰国5 ハハ豹変する

それまでにこやかに話していたハハだったが、ムスコ家族が帰るとハハは豹変した。 表情が急に険しくなり、声のトーンは2オクターブほど上がり、早口になってまくし立てた。 ムスコが3日前に家に来ていてチチの今月分の年金を銀行通帳も一切合切持ち去ってし…

ムスメの一時帰国4 母とチチの葬儀

7月31日はチチの葬儀だった。 家に祭壇が設置されたからだろう。ハハの質問は「パパは死んだの?」から「パパはいつ死んだの?」に変わっていた。 礼服があるのか、誰に葬儀のことを知らせたのか、誰が参列するのか、お金はあるのか、と何度も何度も聞かれた…