minnesotakkoの日記

国際遠距離介護の記録

2018-01-01から1年間の記事一覧

ムスメの一時帰国10 日本語の妙

ハハと近所を歩いていたら、ハハの友人にばったり出会った。どうやら久しぶりに会ったらしい。 その友人が「パパ(チチのこと)は遠くに行ったんだって聞いたけど」とハハに言った。ハハは涙ながらに「長い老人ホーム生活だったし、苦しくなくて静かに旅立っ…

ムスメの一時帰国9 ハハと運転免許

ハハが運転をしなくなって2年になる。免許停止になったまま出席すべき講習に出ていないのでそのままになっている。はずだとムスメは思っていた。 が、ハハとハハの妹(ムスメの叔母)が電話で話をしているのを聞いて急に不安になった。ハハは運転免許証を「…

ムスメの一時帰国8 ハハと台所

ハハはもう料理をしなくなった。鍋を黒焦げにした前科があるので、ムスコがガスを止めて久しい。 主人を失った台所は薄汚れていた。食材は期限切れのものが散財している。丸大豆醤油になたね油、オリーブオイルにケチャップ、めんつゆに酢など生協の宅配であ…

ムスメの一時帰国7 ムスメ胃腸をやられる

ムスメの胃腸が悲鳴を上げた。 酷暑に湿度、ストレス、時差ボケ、実家の片付け、事務手続き等々忙しすぎた。それに加えてハハの瘴気にやられたに違いない。チチが亡くなったことはやっと定着した。が、葬式をしたこと自体が定着していないので、毎朝パニック…

ムスメの一時帰国7 ハハとゴミの分別

朝、玄関のベルが鳴ったので出て見たら、区の清掃局の調査員と名乗る男性が二人立っていた。手にはゴミ袋を下げている。そのゴミ袋の中にはハハの苗字がくっきりと書かれたハガキが入っていた。 調査員が説明するところによると、近所からクレームが出たとい…

ムスメの一時帰国6 泥棒は人殺しへ

ハハはまだチチの死を完全には理解していない。 葬儀を行ったことは全く覚えていないし、当然葬儀に誰が来てくれたかも覚えていない。 家の祭壇をみて、「お葬式はしたの?」「どこでしたの?」「誰が来たの?」とムスメにきく。ここまでくると、ムスメは地…

ムスメの一時帰国5 ハハ豹変する

それまでにこやかに話していたハハだったが、ムスコ家族が帰るとハハは豹変した。 表情が急に険しくなり、声のトーンは2オクターブほど上がり、早口になってまくし立てた。 ムスコが3日前に家に来ていてチチの今月分の年金を銀行通帳も一切合切持ち去ってし…

ムスメの一時帰国4 母とチチの葬儀

7月31日はチチの葬儀だった。 家に祭壇が設置されたからだろう。ハハの質問は「パパは死んだの?」から「パパはいつ死んだの?」に変わっていた。 礼服があるのか、誰に葬儀のことを知らせたのか、誰が参列するのか、お金はあるのか、と何度も何度も聞かれた…

ムスメの一時帰国3 ハハの混乱

お悔やみの電話がかかるようになってきた。家族とハハの特に親しかった友人たちにしか知らせていないのだが、それでも人のツテで心のこもった電話がかかってくる。 家の電話にかかってくれば、私が出て説明ができるのだが、ほとんどハハの携帯にかかってくる…

ムスメの一時帰国2 ハハと納棺

納棺式へ行って来た。 ムスコが車で迎えに来たのだが、そこで一悶着があった。 「そんなこと今初めて聞いた」と言うのだ。 いやいや、2歳児に言い聞かせるように、ムスメは何度も伝えたし、ハハ本人も今日の予定を何度も確認していたのに。ムスコとムスメは…

ムスメの一時帰国1 ハハの動揺

ハハの動揺は、悲しみにではなく不安に支配されている。 遺族年金がいくらになるのか、ムスコがお金を盗んでいくから手元に一銭もない、葬式代がいくらかかるのか、入院費は払えるのか諸々のお金の不安が9割で、残りの1割が誰に葬儀のことを知らせるか、とい…

チチ、旅立つ

退院できるくらい安定していたのだが、その日は突然やってきた。 午後2時の時点では何も変わりがなかったが、午後3時の時点ではすでにチアノーゼが出ていて、すぐに病院に搬送された。その時点ではもう心肺停止だったそうだ。 ムスコに連絡があり、ムスコ、…

ハハと冷房のリモコン

猛暑の東京。 ハハは電気代を節約しようとするに違いないし、リモコンを失くしてしまっているかもしれないし、リモコンの電池が切れていても交換できないだろうとムスメは心配していた。 どうやら、デイサービスのスタッフがハハが冷房のスイッチを入れてた…

ハハの話を聞くコツ

ハハの話は何が事実か分からない。遠距離では確認できないことが多すぎて切ないが。 ムスコがハハの金銭管理しているが、以前は「ムスコが留守中に無断で預金通帳や印鑑の全てを持ち去った」と言っていたが、今では「3日前にムスコがやって来て目の前で通帳…

ハハと災害

大阪で地震がありましたね。 こちらでは報道されていなかったので、ネットで後から知りました。 東北大震災の時のことを思い出していました。 私は都内で仕事をしていました。電話が通じなかったので、仕事を片付けて実家に行ったら、ハハは大量のお米を炊い…

チチ、入院

チチが入院した。 胃瘻の逆流が続き、痰が増え、血中酸素が低下していて、肺炎のリスクが高いそうだ。 ムスコは医師から看取りの説明を受けた。 ハハはチチが入院したことを忘れてしまっている。 お見舞いに一人で行くことがもうできないので、それでいいの…

一人狂うとみんな狂う、とハハが言う

チチに認知症の症状が出始めた頃にハハがよく言っていた。引きこもり、飲酒、物忘れ、徘徊が複雑に絡み合って一気に現れたため、家族は変化に対応するのに苦労したのだった。 ハハとしてみたら、夫の定年後はゆっくりと旅行でもしながらのんびり暮らすのを夢…

ニューメキシコ州の修道院にて

ニューメキシコ州にある修道院に宿泊してきた。50人を超える修道士がカトリック信仰を基に共同生活を送っているのだそうだ。 20歳台から高齢者は80歳台の男性が伝統的な規律に従って生活しているのを一部だが観察、体験してきた。高齢の修道士は杖をついてい…

ハハ、再び落ち込む。

最近のハハは怒らない。以前は、ムスコ夫婦に対する怒りや不平不満で一杯で口汚く罵っていたのに。 ムスコ夫婦から連絡が全くない、だから私はもう誰からも必要とされていない、だから生きていたくない、というループから抜け出せないようだ。 それでも月曜…

ムスコの悩み

ハハはめちゃくちゃである。お金の管理はできず、あれだけ好きだった茶道もやめ、料理もできなくなった。1日に何度も何度も電話がかかってきて、お金がないと文句を言われ、渡した現金は渡したそばから消えていき、挙げ句の果てには盗人呼ばわりされる。 チ…

ハハと借金 その後

ハハが妹からお金を借りているのが発覚した。 どうやらその現金は念入りに隠して、まだ手元にあるらしい。「命金」と称して何かがあった時のために使わないでおくのだという。 ムスコやムスメが渡した現金はどんどん紛失するのに、妹から借りたのは失くなら…

ハハと借金

ハハが借金をしていることが発覚した。 現金が手元にないことが不安でたまらなかったらしく、ハハの妹に電話して送ってもらったらしい。総額5万円ほどだ。 もちろん、送ってもらった5万円はとっくにどこかへ消えてしまった。 もうキリがないよ、というのがム…

ハハと金銭管理 ムスコの嘘のその後

ムスコは銀行通帳もカードもクレジットカードも全てハハに返したと嘘をついた。 ハハに金銭管理ができないことを再認識させて、ムスコに委ねるようにするためだった。 日曜日に電話したら、昼過ぎだったがまだ寝ていた。お金が一銭もないから何も食べないで…

ハハと来客

先週の日曜日に電話をした時のことだ。日曜日はデイホームがないので、何したらいいか分からない、ムスコ夫婦がかまってくれない、お金がないから食べるものがないから死にたい、と鬱々としているのが常だが、先日は違った。 昼過ぎに電話したのに、もう起き…

ハハと金銭管理 ムスコの嘘

ムスコがハハとチチの金銭管理をしているのだが、ハハはそれが気に入らない。最近ではムスコの商売がうまく行っていないから、チチとハハのお金を盗んでいると言うようになった。それをムスコ本人にもムスメにもはたまた他人にも公言するようになった。 ムス…

自分の老後は?③ 自分のニーズをはっきりさせる

これははっきり言って自信がない。 自分に何が必要なのかよく分かっていないからだ。何が食べたいのかと聞かれても困る事がよくある。 ハハがヘルパーを嫌がったのは、何をしてもらいたいか分からないのに他人が家に入ってくることだったのではないかと今で…

ハハと家族 ムスメの気持ち

ハハはよく「家族なんだから」と言う。 ハハがそれをどんな意味で使っているのか確認した事はないが、私には「家族なんだから自分の事は犠牲にしても親に尽くすべき」と解釈していた。 「家族なんだから」お嫁さんがもっと家事や介護を手伝うのが当然、お嫁…

ハハと家族

日曜日に電話したら、案の定絶不調だった。 何をしたらいいのか分からない、何もしたくない、ムスコ夫婦が優しくない、もう死にたい、と言っていた。 先週の水曜日にはムスコが来て一緒にチチに会いに行ったはずなのに、覚えていないのだ。 「日曜日なんだか…

ハハと鍵 新たな被害妄想

実家の玄関には2つの鍵が付いている。 1つは外からの侵入者を防ぐもの、もう1つは家の中から外に出られなくするものだ。徘徊がひどかった父が一人で外出できなくするための苦肉の策で付けたものだった。父が老人ホームに入居してからもずっとそのままにな…

夜中のメール

最近はハハの調子が良かった。平日はデイホームへ行き、日曜日は来客があって、電話の声も生き生きとしていて、ムスメは安心していた。何とかこのまま持ち堪えられないものかと、この状況が維持できれば、ハハの行きたがらない老人ホームへの入居を先送りに…