minnesotakkoの日記

国際遠距離介護の記録

ハハ、遺書をムスコに送る

もう充分にいきました。

 

今日までありがとうございました。

 

とムスコにメールが送信したらしい。

 

老人ホームにいても、ハハが帰りたいと願う家にいても、状況は変わらないだろう。

 

子供として、どうしたらいいのだろうか。

ハハの気持ちに寄り添って独居を続けるのか、安全で快適に暮らせるように心を鬼にするのか。

ハハ、朝から何も食べさせてもらっていないと言う

今朝は一変して機嫌が悪い。午前11時に電話したら、朝から何も食べさせてもらっていないとご立腹だった。

 

おそらく、朝食後アクティビティに参加して部屋に戻ってきた所なのだろう。朝食を食べたことを忘れているに違いない。朝から水一滴だって口にしていない、誰も食事だって呼びに来ないし、と穏やかでない。

こんな変な所に親を入れとけばいいと思っているなんて、もう死んだ方がマシ、何も食べないで死んでやる、と言われた。

 

ハンガーストライキで死ぬには脂肪の蓄えが沢山あるから時間がかかると思うよ、とか笑い飛ばせればよかったけれど、冗談は通じなかっただろう。

 

1時間後に再び電話してみたが、ハンガーストライキの意志は固かった。今ここに12月14日朝食、昼食なし 11:53記 と書いてあるの、と言う。誰が書いたメモなの?施設が書いたメモなの?それとも自分で書いたの?と聞いても要領を得ない。ホテルにいるのか老人ホームにいるのか理解していないようだった。

 

 

 

 

ハハ、ここは本当に良いところだと言う

退屈だとか、こんな所に親を入れるなんて、と怒ったり落ち込んだりと感情の起伏が激しかったが、今日は珍しく穏やかだった。

 

ここはご飯も美味しいし、どこへ行っても綺麗だし、ピアノは弾かせてもらえるし、本当に良い所なの、と言っていた。

 

それはよかった。これが続けばよいのだが。

 

 

ムスメの本音

ハハが老人ホームに滞在して1週間になる。

 

ハハ、弟、施設長さんと話しをしながら、ブログを書きながら、実は泣いてばかりいる。何でこんなに涙が出るのか自分でも分からない。

弟がハハをようやっと施設に連れて行った日には、それこそ子供のように声をあげて泣いた。それ以降は、ハハのことを考えては涙をこらえ、気を紛らすために忙しいスケジュールを自らに課している。折しもクリスマスシーズンのアメリカである。何やかんやと忙しい。

 

忙しくしていても、友人と話していて友人のお母さんがグループホームにいるとか聞いちゃうともうダメでここでも泣き、誰かのお父さんが亡くなったと聞けばこれもダメでここでも泣き、聖歌隊のクリスマスキャロルを聞いては泣き、ブッシュ元大統領の葬儀をテレビで見ながら泣き、もう笑っちゃうほど、ぐちゃぐちゃである。

何とか体裁を保つには、ぼーっと何も感じない考えない状態でいないとならないため、日常生活もぐちゃぐちゃである。買い物にメモを持って行っても買い忘れは多発、他人の会話は馬耳東風をきめこんでいるので、ただでさえ困難な英語の聞き取りは下降の一途を辿り、要するに今の私は泣いてるか骨抜き抜け殻状態のどっちかになってしまっている。下手すれば自動車事故を起こしそうだ。

 

何でこんなに涙が出るんだろう?悲しいんだろうか?ハハを不憫に思っているから?自分の無力感に押し潰されているのか?

自分の老後は老人ホームに入居したいと思っている身としては、老人ホーム入居が不幸な老後とイコールではないのに、なぜこれがハハだとダメなのは何故?ハハが1人で暮らしていくのが限りなく不可能に近いと分かっているのに。

 

 

 

ハハの介護認定

ハハの介護認定が要介護2から要介護3になった。

ケアマネさんからは要介護3になるのは難しいと思いますと言われていたのだが、デイホームで失禁することが何度かあり、それが考慮されたのだろう。

 

現実的には何も変わらない。受けられるサービスは多くなるのだろうけれど、まだ特別養護老人ホームに入居できるほど緊急度も高くないし、ハハも現時点では特別養護老人ホームでは幸せになれないとムスメは思う。

 

 

ハハ、老人ホーム入居 1週間経過

朝食前に電話したら、えらく不機嫌だった。人生こんなにつまらないことはない、今日はこのままずっと寝てるつもりだ、というので30分後に掛け直すねと言って一旦電話を切った。

 

30分後に電話しても状況は変わらず。もう生きていたくないから今日は起きないで寝てるの一点張り。朝ごはん食べたら元気が出るよ、と言っても聞く耳を持たず。

 

「親をこんな所に突っ込んでおいて平気な人がいるなんて、もう生きてる価値がない」

と吐き捨てるように言い、電話を切った。

 

なるほど、そうなのか。ついに老人ホームにいることを理解したのだ。自分の夫の死ですら定着するにも1週間はかかったのだから不思議ではない。

ハハにとって老人ホームは姥捨山で、家族に面倒みてもらえない哀れな高齢者が行く所なのだ。手塩にかけて育てた子供は親を捨て、嫁は出来が悪く、孫は忙しく会いにもこない、その上お金を一銭も渡されていないから買い物に出かけることもできない。そして周りは「年寄りで馬鹿ばっかり」なのだから、無理もない。

 

ここから施設側がどんな対応をしてくれるのかが大きなカギになるだろう。施設もプロである。こんなケースをいくつも経験してきたはずだ。期待したい。

ムスメ、施設長さんと話す

ハハはムスメには退屈だと言い、ムスコには飛び降りで死んでやると言う。

 

これでは全体像が見えないので、ハハの様子を聞くべく施設に直接電話をした。施設長さんと話すことができた。

 

そこから垣間見えたのは、

⒈昼間は体操教室に参加したり、ピアノを弾いたり活動的に過ごしていること

⒉夕食後には帰宅願望が強くなるがこれは施設で対応できる範囲内であること

⒊食事で同席した利用者に同じ質問を何度もするので席替えを求められたこと

⒋夕食後にハハの妹(ムスメの叔母)に電話した後に感情が高ぶることがあること

 

なるほど、ハハが退屈しているのは昼間ではなくて夕食後から朝食までの間だ。ムスメが電話がかけているのが朝食前なので、当然ハハは退屈しているのだった。ムスメが電話をかける時間を変えなければならない。

 

ここで問題視されているのはハハと妹のことだ。

ハハの妹も認知症が進んでいる。おそらく混乱したハハが妹に電話したが、2人で話していても状況が把握できなかったのだろう。そこへ巡回の介護スタッフが通りかかり、ハハの妹が色々と質問してハハが老人ホームに入居していると判明、そこで「老人ホームに入居するだなんて聞いていませんよ」とスタッフの人に電話で詰め寄った、という一連のドラマがあり、介護スタッフの時間が取られたということ、そしてその後ハハの感情が激昂したことがあったらしい。

 

これが続くようであれば、何らか対策が必要になるかもしれません。

ショートステイは今月25日までの契約なので、今後受け入れ可能かどうかは様子を見させていただきたいと言われた。やんわりと問題行動が続くようなら受け入れられませんよと言われたようなものだ。

 

認知症が進行していても姉妹である。ハハにとっては唯一心許せる相手である。受信・着信拒否にはしたくない、とムスメは願う。