minnesotakkoの日記

国際遠距離介護の記録

ハハ、デイホームを変える

ハハのデイホームがムスコの計らいで変更になった。

 

隣の区のデイホームなので、ケアマネさんには圏外の施設だったが、一日ステイできて昼食が出る。しかも、以前チチがお世話になっていた施設で、施設長がムスコの同級生のご母堂というご縁に恵まれた。

 

ハハによると、午前中はまったりとそれぞれが新聞など読んで過ごしてから昼食、午後は麻雀だそうだ。昼食が全て施設で手作りされていてとても美味しいらしい。ピアノがあってコーラスの伴奏など弾かせてもらっていると楽しそうだった。

 

ここに週5日通えれば、老人ホームに入居せずともやっていけるのではないか?という考えがムスメの頭をよぎったが、たとえ週5日通っても、帰宅後は再びリモコン・銀行通帳を探し続け、夕飯を作れない生活が待っているのだと考え直した。

まずは体験入居後、見極めが必要だ。

 

 

ハハと麻雀

電話したら弾むような声でハハが、今難しい局面だからね、と言う。

 

ああ中国語なのね、とムスメが返す。

じゃあ後でまたかけるからと言って電話を切った。

 

月に1度の兄弟姉妹で集まって中国語の勉強と称して雀卓を囲っているのだ。

思うに麻雀とは偉大な発明だ。チェス、将棋や囲碁は差し向かいの2人だが、麻雀は4人必要なのだ。当然、コミュニケーションの幅も広がるし、頭の体操、手先の運動にもなる。近所の地区会館でも麻雀は人気のアクティビティなんだそうだ。4人集まっても麻雀を中心に話も進むだろうし、一緒に何か食べるだろうし、何より楽しいし、言うことなしである。

 

楽しいことがあれば、ハハもあれだけ元気なのだ。

体験入居先でも楽しいアクティビティが用意されているとよいのだが。

 

 

 

 

ハハ、体験入居に少し前向きだが

今日電話したら、だるそうな声でハハが電話に出た。

週末なので行く所がないのだ。用事がなければ一日誰とも会話しない日になってしまう。テレビのリモコンが見つからなければ、テレビも見られないだろう。

 

もう死にたいほどつまらない、どうしたらいい?と言うので

体験入居に気軽な気持ちで行ってみたらいいんじゃない?と提案してみた。

 

なんか今月行く予定になってるみたいだけど、そうまでして生きていたくない、とあくまで後ろ向きな発言だったが、とりあえず体験入居が予定に入っているので安心した。

 

健康なのにつまんないと言って生きてるのは勿体無いから旅行に行くつもりで体験入居に行って来たらいいよと言ったが、ハハに届いただろうか。

 

他人の悪口を聞かされるのも、怒りを向けられるのも辛いものだが、沈んだ声を聞くのもしんどいものである。

ハハ、不機嫌になる

電話したらとても機嫌が悪かった。

ムスコが来て、色々な事務手続きをしているという。よかったね、とムスメが言えば、よくないわよとそっけない。

 

なんでよくないの?とムスメ

 

あのね、いちいち気にしてくれなくてもいいから。アメリカにいるんだから気にかけてくれてもしょうがないんだから。こっちはこっちで何とかするから。帰ってこなくていいから。じゃあね。

 

と電話を切られた。

要するに遠方のムスメは役立たずと言われたようで面白くはないが、まあそれも事実だから致し方ない。

 

だが、不機嫌の矛先がムスメに直接向かったのは初めてだ。そんなに体験入居が嫌なのか?

素朴な疑問

私は、もし長生きしたら(そしてお金があれば)施設に入りたいとずっと思ってきた。

個室を与えてもらって、ご飯作ってもらって、参加したい活動だけに顔を出して、あとは自分の好きなように暮らす。物を減らして、シンプルに必要なものだけに囲まれて暮らす。探し物のない生活なんて夢のようである。

できないことが増えるだろうから、ヘルパーさんの助けを借りながら、それでもできることは自分でする。自分のやりたいことも尊重する。

プライベートを守りながら、それでも孤立しないで安心して暮らしたいという理想がある。それが私の施設に対するイメージなのだ。

 

近年、老人介護施設での痛ましい事件が後を絶たないが、どこかにいい施設があるに違いないと私は楽観的だ。

 

母が意固地に入居を拒むのは、もちろん経済的不安もあるだろう。住み慣れた環境を離れるのが不安なのもわかる。しかし、老人ホームに対するイメージが私のものとは異なるのだ。年寄りばっかり集まって退屈でみんなでラジオ体操したり、近所の幼稚園児との交流なんてもうこりごり、しかも薄味の不味い食事を食べるなんてまっぴらごめん、てなところなのだろう。

それを払拭させたくて体験入居に行ってもらいたいと思っているのだ。

 

私は将来確実におひとりさまである。しかも、その日はそんなに遠くない。

母のように私も意固地になってしまうのだろうか?

 

 

 

ハハの老人ホーム体験入居 準備編

ムスコが手筈を整えた老人ホームの体験入居も日が近づいてきた。

 

電話してハハのムスコや嫁の悪口を聞くのも気が滅入るものである。日本不在の身としては傾聴しかできることはないのだろうが、毎回聞かされるのもしんどいものだ。何とか話題を変えようと、体験入居について触れてみた。

 

これが思わぬ藪蛇になってしまった。

 

そんなこと全く聞いてない、と言うのである。

私の都合も聞かないで勝手に何でも決めてしまうなんてひどすぎる!銀行通帳の時もそうだった。

そんな所へ絶対に行かない。今から予定入れてやる!ムスコの思い通りになってたまるか!こんなことだったら死んでやる!

 

と穏やかでない。

 

見学に行ったことも、健康診断書を取りに行ったことも、ムスコと一緒に日程を決めたことも覚えていないのだ。

当日行かないとゴネられて体験入居をキャンセルすることになっても、キャンセル料は払わなくてもいいように交渉してあるそうだ。あっぱれ弟よ。

 

話題の触れ方には気をつけないと、火に油を注いでしまう。猛省中のムスメである。

 

 

 

ハハの老人ホーム体験入居

ムスコが施設を探して体験入居の予約をしてきた。ハハと一緒に見学に行き、活気のある施設で、外出も自由にできるし、料金も予算内でチチの施設ともそう遠くない所を見つけてきたのだ。

 

まだ要介護1である。まだ施設入居しなくても独居できるはずなのだが、状況が改善される見通しが立っていない。

ムスコの同居もムスメの帰国&同居も現実的ではないので、ハハの寂しさは埋められない。

ヘルパーに来られるのは嫌がる。宅配の食事は口に合わないので断ってしまい、食事が十分に取れていない。

曜日の感覚が薄れてきたので、自分の予定が把握できていないことが多くなった。人との約束が守れないことが増えた。区民センターの活動もいつ行けばいいのか分からないこともある。人との交流が減り、孤立していく。

 

そこへガスつけっぱなし事件があり、ムスコも焦ったのだろう。

 

今から施設に入居すればまだ環境の変化に適応できる余力はあるとムスメは思う。食事がきちんと摂れて、投薬管理できて、規則正しい生活が送れれば、抑うつ状態も改善できるのではないか。社交的なハハのことだから友人もできるだろう。エアコンやテレビのリモコンを探さなくて良い生活、今日が何のゴミの日だったか毎朝分からない不安、もう生きていたくないと思う日々から少しでも解放されてほしい。

 

ハハは嫌がるだろうが、気軽な気持ちで体験入居してもらいたいと思う。一週間試してみて、やっぱり嫌だと思えばそれでよし、思ったほど悪くないと思ってもらえれば今後の参考になる。