だまされないの?とハハが聞く
ハハは相変わらずである。
朝は何をしたらいいのか分からずに鬱々としている時と、庭仕事をしていて上機嫌な時の2パターンに固定されてきたか、と思っていたところだった。
昨日は鬱々パターンの日だった。朝起きても、自分が何をすべきかが分からないので、不安感が強かった。今日はデイホームの日だからね、とムスメが言うと、そこへ行ってだまされないの?と聞いた。
物取られ妄想は強かったが、デイホームにはチチもお世話になっており、施設長さんのことを尊敬していたので、まさかデイホームを疑うようになるとは思っていなかった。
これがパターンとして定着するのだろうか?
ここはどこなの?とハハが聞く
最近は驚くほど調子が良かったのだ。ムスメが電話をする前に起きていて、庭仕事をしている。デイホームのお迎えが9時だということも分かっていて、元気な声をしていた。
認知症が治るとは思っていないけれど、こうしてハハが元気にしていれば、ムスメも嬉しい。
しかし、今朝はまだ寝ていて、ここはどこなの?と落ち込んだ声で言っていた。もうここがどこなのかも分からなくなっちゃった、ここは〇〇なの?と住んでいる地名はちゃんと言えたので、それほど進行しているのではないと思いたい。
ムスメの一時帰国は延期に
6月16日に出発の予定だったが、のっぴきならない案件が発生し、今回はキャンセルすることにした。
ハハには一時帰国することは話していなかったので、実害はない。
こういう時には、ハハが認知症で良かったと思う。短期記憶がないからだ。ムスメが帰国するのを心待ちにしていて、それが取りやめになってガッカリすることがないからだ。
今回の帰国はコロナ以来だったので、ムスメとしては残念でしかたがない。のっぴきならない案件の予定は全く見えないので、次回の帰国がいつになるかも分からない。
ハハがムスメだと分かってくれているうちに帰れるだろうか。
ムスメの一時帰国
ムスメの一時帰国が6月下旬に決まった。ハハにはまだ知らせていない。
電話のハハの状態は2パターンに固定されてきた。元気でガーデニングをしてデイホームの迎えを楽しみに待っているハハと朝起きて途方に暮れているハハだ。そこにムスコがお金を盗んでいくという妄想が絡む。
チチはアルツハイマーだったのだが、坂道を転がるように、どんどん認知機能も身体機能も低下していった。
ハハも脳に萎縮が見られるためにアルツハイマー型認知症と診断されているが、チチのような低下は見られない。ムスメだと声だけで分かるし、言葉はツルツルと出てくるし、この物取られ妄想も長い。
電話では分からないことも沢山あるだろうけれど。
ハハの大荒れ、おさまる
大荒れだったハハだったが、最近は落ち着いた。
声を荒げることはないが、混乱していることには変わりがない。
今朝は、何故この家には私一人しかいないのか?と聞かれた。ムスコとムスメがどこに住んでいるかが分からないし、チチが死んだことも忘れていた。
認知症になると、昔のことはよく覚えているが最近のことは忘れてしまう、とはよく言われる。ムスメもムスコも独立して30年にもなるのに、それが最近のこととして忘れられてしまうのか。
ハハ、久しぶりに大荒れ
多少の混乱はあるものの、落ち着いていたハハだったが、昨日は大荒れだった。
内容はいつもと同じで、お金がない、食べるものがない、だからデイホームに行かれない、のループなのだが、声はキンキンと高くなって、
「誰が私をこんな目に合わせるの?」と怒鳴り、ムスコへの不満を高らかに訴える。
こういう時はムスメが何を言ってもダメなので、冷蔵庫の中に食べるものは入ってるよ、お金のことはちゃんとなってるよ、ムスコは泥棒ではないよとは言えないのが悲しいが、だから大丈夫だからデイホームのお迎えが来たら行けばいいのよ、とハハの怒号の合間を縫って言ってみるしかない。
「もうこれから死んでやる」と電話を切られた。
こんなことは何度もあったが、久々にあるとムスメだって気が滅入る。