minnesotakkoの日記

国際遠距離介護の記録

ハハ、預金の管理ができなくなる

ハハのムスコに対する不信感は未だに根強く残っている。

ムスメの一時帰国 最大難関はハハのムスコへの不信感 - minnesotakkoの日記

 

追い討ちをかけるように、銀行の預金残高がマイナスになってしまった。記帳してみれば、過去一ヶ月に渡り10万単位の現金が何度も引き出されている。が、家にも財布の中にも現金は見当たらない。引き出したハハは何も覚えていない。

ムスコが滞った銀行引き落としの支払いに奔走した。

 

これは初めてのことではなく、ムスメが前回帰国した際にも残高がマイナスになったことがあった。ハハは何に使ったのか全く覚えがない。二人で銀行へ行き、定期預金を解約して普通預金に充てたのだった。

この時は、ハハがムスメに残高がマイナスになっていると言ってきたのだ。

 

だが、今回は支払いが滞るまでハハは状況を把握できていなかったのだ。

 

ムスコへの不信感が強いがために、ムスコに管理を頼めない・頼みたくないという悪循環に陥っている。何でもムスコが相談せずに勝手に決めてしまう、自分のものを勝手に持ち去って行く、自分が管理できるのにさせてくれない云々 ハハのムスコへの罵詈雑言は終わらない。

 

余談だが、この図式はハハの子であるムスメとムスコが幼少期に体験した家族の関係なのだ。ハハは”あなたために良かれと思って”と言い自分の言い分を通してきた。ムスメとムスコにノーと言う選択肢は与えられておらず、どんなに抵抗しても結局はハハの思い通りにしてきた。お陰でムスメもムスコもそんなハハの独壇場から離れるべく、独立心が旺盛に育ったのは利点だったが、親子関係はいつでも一方通行だったのだ。

今は、ムスコが”ハハのために良かれと思って”物事を解決しようとしているのだ。ムスコはこのまま自分の意見を押すだろう。親子で話し合いなどしてこなかったからだ。ハハにはそれが理解できないだろう。認知症を発症していなかったとしても。

ハハ、デイホームに通う

近所のデイホームに週2回通うことになった。午前中だけで、昼食は出ないが、送迎付きだそうだ。一軒家を改築したホームなので居心地は良いらしい。

 

が、所詮単なるヒマつぶしよ、とハハはそっけない。

 

それでも一人で家にいて鬱々として嫁の欠点を数えているよりは健全だと思うムスメなのだ。

チチの入院

チチが肺炎で一ヶ月ほど入院していた。先日無事退院して老人ホームに戻った。

 

ということをムスメは知らなかった。ハハには電話をしていたけれど、何も言わなかかったし、ムスコ(弟)も知らせて来なかった。

 

心配させたくなくて知らせなかったんだろう、とムスメは推測するしかない。急遽、一時帰国するほど重篤でなかったのかもしれないし、と自分を納得させようとしている。どのタイミングで帰国するのか、決断を迫られる時が来そうだ。

 

伊藤比呂美 父の生きる

詩人の伊藤比呂美さんの父の生きるを読んだ。アメリカ在住で一人っ子で日本のご両親の介護をした大先輩である。(もちろん面識はないのだが、多くの作品のファンであるため、尊敬の念を込めてそう呼ばせていただいている。)

 

読んでいて救われたのは、伊藤さんも私と同様に、日本に電話したくない時があったということだ。

 

アメリカに戻ってからなるべくハハに電話するようにしている。電話口のハハは元気なこともあれば、落ち込んでいて死にたいと言ったりと状態は安定していない。

朝からビール飲んで寝てると聞かされれば、次の日には電話したくない。ムスコやムスコのお嫁さんの悪口を聞かされれば、怒りたくなる。それでも日本を離れる決断をした自分に罪悪感を感じつつ、だからと言って日本に帰国する状況にもあらず、罪悪感と自己嫌悪の間で何とか自分を立て直して、電話するという日々が続いている。

 

だからこそ、電話したくないと思う自分を責めず(自分をいじめても何も解決しないのだ)、最善を尽くすしかないんだと誰かに言ってもらいたかったのだ。

 

ムスメの一時帰国 最大難関はハハのムスコへの不信感

ハハの独居はいちいち難しい。冷蔵庫は空っぽで食べるものはないが、冷凍庫は満杯で何を食べていいかわからない。調理しようにも引き出しを開ければ、すべての引き出しが物で溢れかえっていて、菜ばしを探し出すにも苦労する。

現金は家中に散在しているし、何にいくら使っているかが分からない。通販の請求書は来るし、在宅していなければ不在連絡表が溜まっていくばかり。

スケジュールの管理が難しくなってきたので、約束をすっぽかしたことは数知れず、待ち合わせの場所を勘違いして出かけて行っても会えなかったことも多々あり。

こういう失敗の積み重ねが自信喪失となり、軽いうつとなって表出することもある。

しかし、これらのことは、日常生活においては小さな不便・困難にはなりうるが解決可能なことだと思われる。

 

ムスメがこの一時帰国で最大の敵だと思ったのは、ハハのムスコへの不信感だった。

ムスコはハハが金銭管理できないのを心配して、銀行の通帳や印鑑などを整理して持ち帰ったのが仇となった。ハハに了解を得て持ち出したのに、ハハがそれを忘れてしまうとは計算外だったに違いない。ハハのなかではムスコが勝手にすべての持ち去った、ムスコはこの家の財産を食いつぶす気でいるに違いない、私がきちんと管理していたのに台無しにした、あの子が来るときはお金をすべて隠さないと安心できない、という図式が出来上がってしまったのだ。

 

朝食を食べたかどうかも覚えていないのに、ムスコが信頼できないという妄想は忘れられないのだ。なんという不幸だろう。

ムスメがアメリカにいる限り、ムスコが唯一の介護者なのだ。信頼関係が構築できないのは致命的だ。

 

ムスメがいくら説明しても馬耳東風。何とかハハの不信感を払拭できないものだろうか。

ムスメの一時帰国、サービス付高齢者住宅の見学

ムスメの叔父(ハハの義理の兄)が去年サービス付高齢者住宅(以下、サ高住)に入居した。

叔父にも会える良い機会だったので、ハハと2人で見学させてもらうことにした。

 

結論から言う。ムスメにとっては夢のような施設だった。駅近、築浅、食堂付、セキュリティーもしっかりしていて、センサーが24時間以上だったか感知しないとフロントが安全確認してくれるという。賃貸のワンルームではなく分譲のワンルームといった風情で、ベッドルームは6畳ほどだがミニキッチンもあり、一人で住むなら十分。もちろん入り口からすべてバリアフリーになっている。物が減らせれば快適だろうなと思う。共益費などは賃貸に比べれば高めだが、共用部分は手入れが行き届いているし、フロントに誰かがいる、というのは安心なのではないだろうか。

 

だが、ハハの意見は正反対だった。叔父がキレイにサッパリと暮らしていることは認めたが、自分が入居したいとは言わなかった。理由は、狭いからとか場所が不便だからとか言っていたが、今から引っ越す手間が煩わしいのと、ムスコ夫婦と同居したいというのが本音だろう。

 

他のサ高住を見たことがないので、一概には言えないが、将来このようなサ高住はもっと増えるのだろうと思う。

 

ムスメの従姉妹は60歳になったらサ高住に申し込みすると言っていた。ムスメはその気持ちがよく分かる。60歳になったら身辺整理をして、所有物を減らし、必要最低限ものを持って、小さな所で快適に暮らす。鉛筆一本探すのが大変なハハの住まいとは違って、必要な物しか持てない暮らし方はストレスが少ないだろうと推察できる。ゴミ出しを気にすることなく、料理したくなかったら建物内で食べ、元気だったら自由に暮らせる、そこから仕事に行ってもいい。しかも、所有物ではなくて、あくまで賃貸だから自由も利く。老人ホームの入居金や月額費に比べたら、料金は格安だ。家賃が支払えるだけの経済力は必要なのだが・・・・・。

 

 

ムスメの一時帰国 第四難関は金銭管理

ハハはもともと事務能力がない。会社勤めをしたことがなく、真面目な銀行員だったチチに任せっきりだった。チチがアルツハイマーになってからは、必要にかられて最低限は自分でやっていたが、確定申告のための医療費のレシートや保険会社からの控除の通知などは大事に仕舞ったのか、紛失したのか、きちんと揃ったことがなかった。

 

そんなことだから、金銭管理は最初から分が悪い。

まず、色々な振込み用紙が届くが、何のための支払いなのかが分からなくなっていた。謎の振込用紙はムスメが請求先に電話をかけて、何をいくつ購入したのか確認した。

化粧品や健康食品の定期購入を申し込んであって、未開封の化粧品や青汁が山積みになっていたのでキャンセルした。

 

次に、銀行で引き出してきた現金の管理ができなくなってきた。現金を仕舞うのだが、仕舞った場所を忘れてしまうのだ。引き出しを開けると思わぬところから現金が出てくることがあった。現金の管理が出来ないと、その度に銀行で引出して、残高がマイナスならないかが心配だ。