minnesotakkoの日記

国際遠距離介護の記録

ハハの本音

ハハの様子は相変わらずである。

ムスコへの不信感、不満、不安しか話さない。

 

変化がないことは現状維持ということでもあるので、有難いことではある。庭仕事をした後だったりすると、機嫌の良い日もある。逆に雨が降っていれば、デイホームに行く気もしない程落ち込んでいる日もある。

 

だが、今朝は不安モードではなくて怒りモードのスイッチが入ってしまい、ムスコに対する怒りをムスメにぶちまけることとなった。

 

1人で寂しいのをこれだけ我慢しているのに、預金通帳もカードも取りあげるなんて、親にこんなことができるなんて許せない、延々と話し続けた。

 

そうか、ハハは寂しいのか、これが本音なのだとムスメは初めて分かった。

ムスメは1人でいるのが苦にならないのだ。だから理解できなかったのだが。申し訳ないことをした。だからと言って、ムスメにできることは電話するくらいしかないのだが。

ハハからのメール

ハハからメールが来るようになった。

 

内容はいつでも同じだ。

「もう充分に生きたという思いから逃れらないのです」と書いてある。

 

もう充分に生きたから死にたい。

ムスコに全財産を取り上げられて、パンを買うお金すらもらえない。

デイホームはつまらない。

ヨメにも孫もあれだけ可愛がってよくしてやったのに、電話の一本もよこさない。

 

義理の両親にも尽くした。

自分の両親にもできる限りのことはした。

夫の介護もした。

にもかかわらず、自分が介護される時には誰も頼りにならない。

 

独身のムスメには頼れると期待していたのに、アメリカにまで行って役に立たない。

 

というハハの思いがこの一行に込められている気がする。

ムスメは何と返信していいかさえも分からない。

 

 

 

ハハと長男

ハハは相変わらずである。

 

が、どうやらムスコとハハの兄(ムスメの叔父)を混同しているような口ぶりになってきた。

ムスコがお金をくれないの、という愚痴はムスコと兄がお金をくれないの、という愚痴に変わってきた。電話してもメールしても出ない。遺族年金が出ているはずなのに、銀行の預金通帳もない、手元に現金もない(←3日前の電話では財布が見つかって現金が入っていることを確認しているが)、我が家の家計がどうなっているのか全く分からないし、報告もない。長男なのにけしからん!というのがハハの論法である。

 

ハハがハハの兄を責めているのか、ムスコと混同しているのか、それともこの2人を一括りにして不満に思っているのかどうかは分からない。

認知症になる前のハハはハハの兄のことを長男なのに一族をまとめようという気概が感じられないと言って嘆いていたのは事実なのだが。

 

因みにチチ(ハハの夫でムスメの父)は長男だった。長男が期待されている責任を自分の役割として受け入れ、両親の面倒をみて、看取った後の葬儀や墓地の購入、法事の全てを執り行った。その見返りとして両親の遺産を受け取った。兄弟が3人いたが、遺産の分配で兄弟が争ったことは1秒たりともなかった。

 

ハハの理想の長男像はここにある。期待されている役割を受けて入れて文句を言わずに責任を果たす。

 

さて、ムスコは長男である。姉と弟の長男である。

ハハの兄も長男である。兄と3人の姉妹の長男である。

 

きょうだいで一人息子に生まれたがゆえに負わされる責任、他の男兄弟がいないためにその責任が一人の肩にのしかかる。これは実際の責任よりも、ハハの理想の長男像の期待にこたえるのが、もうすでに無理難題なような気がする。

 

このハハの期待がハハを不幸にしていることだけは確かだ。

長男が文句を言わずに責任を持って両親の面倒をみるもの。長男の嫁は義理の母に尽くすもの。娘は嫁に行き可愛い孫を産むこと。

期待が満たされなかった時の落胆、失望、不満、怒りは大きい。

 

昔はハハとムスメで言い合いをしていたものだ。決してお互い譲らなかったから、いつでも物別れだった。

 

 

 

ハハの電話攻撃にムスコがやられる

ハハの自殺未遂の一件以降、ムスコは母からの着信拒否を解除していた。

それ以来、電話とメールでお金を盗むのは止めるように、今すぐに預金通帳もキャッシュカードも返すように、泥棒、人殺しと責められた心優しいムスコにもついに限界がきた。もう耐えられない。預金通帳も全部返すと言ってきたのだ。失くしちゃったらその時にどうするか考える、と。

 

いやいやいやいや、それはダメでしょう。その場しのぎの対処にもならないでしょう、とムスメはアメリカの片田舎から叫ぶ。

 

おそらく、ハハは返してもらった通帳やキャッシュカードを紛失するだろう。もうこれでこの2が月の間に財布を二つ失くしている。デイホームに週6日通い(つまり、平日には1人で外出していない)、日曜日にはヘルパーが来ている(食事の準備をお願いしているのでハハがお金を使う機会がない)にも関わらず、財布は見つからない。よほど疑心暗鬼になって周到に隠し、隠した場所を忘れているに違いない。

 

だから、預金通帳にも同じことが言える。ムスコが泥棒だと思い込んでいるハハは預金通帳を隠そうとするだろう。そして、隠した場所を忘れてしまうだろう。もしかしたら、預金通帳を返してもらったことそすら忘れてしまうかもしれない。

 

紛失したら再発行の手続きに行かなければならないのはムスコ本人である。自分で自分の首をしめているようなものだ。

手元に預金通帳がないハハはムスコが盗んだとムスコを非難するだろう。

 

結局、現状は変化がなく、ハハの不安は増すばかりで、ムスコの仕事も増えるだけである。

 

ハハと話すことがどれだけストレスになるかはよく分かる。

ムスメが5分電話しているだけでも、イライラさせられる。これが日に幾度となく電話とメールで攻撃されたら、そりゃあ、精神を病むだろう。それは分かる。

だけど、これで預金通帳とキャッシュカードを返してハハが電話攻撃の手を緩めることはないだろう。ハハはムスコ夫婦が同居しない限り満足しないだろうから。

 

ここでも、ハハの味方になれないムスメであった。

 

 

 

 

ハハと令和

昭和に生まれ、平成のほとんどを介護に使い、令和には自分が介護される側になったハハだが、この令和はほとんど意味をなさないだろう。

 

初めは、ハハが混乱するだろうと思ってこの制度を呪ったものだが、早見表が必要なのはムスメの方だろう。今日が何月何日か分からないハハにとっては平成も令和も大した意味はなさない。

 

デイホームがあるのか、ご飯が食べられるのか、お金があるのか、人が優しくしてくれるのかが最重要課題であって、元号ではないのだ。残念ながら。

 

テレビを見て面白がってくれればいいと願うムスメだが、電話しても出てくるのはムスコへの不満とお金に対する不満だけである。

ハハ、自殺未遂か?

日曜日だった。ムスメが昼頃電話した時はハハは普段通りだった。

しかし、その数時間後、ヘルパーが来たら、テーブルの上に包丁が何本も出してあったという。心配したヘルパーが施設長さんに連絡、施設長さんが訪問してくれた。

とりあえず、包丁は没収された。ハハにも怪我はない。

 

自殺しようとしたのかどうかは分からない。が、料理をしなくなったハハが包丁を出してきた、というのは尋常ではない。

 

ムスコが夜話をした時は普通だったというから、とりあえず今の段階では、そんなに心配はしていない。

が、引き出しに入っている裁ちバサミとか気になるムスメではあった。

ハハの物盗られ妄想の行方

今まではお金に関することだけだった。現金通帳、銀行のカード、クレジットカード、銀行印が手元にないことだけが不安だった。ムスコがお金が足りなくて盗んでいっているのだと思い込んでいただけだった。

 

が、今朝は不安感が強くて、家に泥棒が入ったのではないかと疑っていた。ハンドバッグもないし、昨夜はあった歯磨き粉が見つからないと言っては、ムスコが留守中に上がり込んで盗んでいくとしか考えられないと言っていた。

 

まあ、ともかくデイホームに行く準備をするように、デイホームの理事長さんに相談するようにとは言っておいたが。

 

うーん。歯磨き粉が見つからないのも困るが、それをムスコのせいにされてももっと困る。これからこんなことが増えるのだろうか。