ハハの話を聞くコツ
ハハの話は何が事実か分からない。遠距離では確認できないことが多すぎて切ないが。
ムスコがハハの金銭管理しているが、以前は「ムスコが留守中に無断で預金通帳や印鑑の全てを持ち去った」と言っていたが、今では「3日前にムスコがやって来て目の前で通帳を持ち去った」と言っている。
どちらが事実なのかは、もうここでは問題でない。ハハにとっての真実は「ムスコがお金をくれなくて、優しくしてくれなくて寂しい」というもので、それを「ムスコがお金を盗んでいる」という表現を借りているだけにすぎないからだ。それは気分次第で、ムスコへの怒りになり、不満になり、憐みになったりするのだ。
これが分かっていないと、ことばの挙げ足取りなってしまうし、金銭管理ができると思っているハハを否定することになる。
以前は、事実関係をはっきりさせて、ハハのできることと、できないことの区別をつけて認識して欲しい、と思っていたこともあったが、それは無駄だと気づいた。歳をとればできないことも増えてくる。ハハにもプライドがある。事実関係をはっきりさせてもハハの寂しさやら怒りやら不安は解決できないのだ。
もう今となってはひたすら話を聞くことしかできない。
それでも反論することはある。
ムスメもムスコ夫婦も同居しないけれど、だから親に不幸になってもらいたいわけではない、ということだ。ムスメは親を捨ててアメリカに行き、ムスコはハハを苦しめるためにお金を取り上げたとハハが言えば、そこは反論することにしてるが。
言葉尻を捕らえないこと、コツはこの一言に尽きる。