それをハハの妄想だと呼ぶのをやめることにした
ハハに入院中のチチの様子を尋ねた。
「私が行くとね、立ちあがってニコニコするのよ」と言う。これで2度目だ。(1度目のことはハハの妄想 に書いた。
この先、こういうことも増えるのかもしれない。元々、感情や思いの丈の激しいタイプである。今まで何とか理性で抑えてきたものが、認知症によって抑えがきかなくなってきたのだろう。ムスコ夫婦への不満も止まるところ知らずなのも納得がいく。
いちいちハハの言うことを訂正するのも意味がないので、余程のことでない限り、黙って聞くことしかできない。妄想と呼ばずに願望と呼ぶことにした。
チチは若年性アルツハイマーを60歳代前半で発症した。定年後、夫婦二人でゆっくり過ごしたかったハハの願望、決して叶うことのない願望だが、それを願うのはハハの自由に委せよう。
ハハの身が危険でなければ、それでいい。宇宙人と会ったと言われたら、ちょっと考えるかもしれないけれど。