minnesotakkoの日記

国際遠距離介護の記録

ハハの変化

老人ホーム体験入居後の生活は基本的に変化がない。というより体験入居の記憶は遠い遠い淵へ沈もうとしている感じだ。

生活がつまらない、ムスコ夫婦が冷たい、他の人はしっかりしているのに私は頭がダメになっちゃった、どうしたらいいのか分からない、とストレスがハハの生活の大きな部分を占めている。

 

だが、昨日の電話では様子が違った。ムスコ夫婦が冷たい、「私は同居して義理の両親の面倒をみたのに」電話の一本もかかってこないと不満で一杯だった。ここまではいつも通りだったのだが、「私が(義理の両親と)同居してあげてよかったと思うの。何もできなかったけど、そばにいてあげられたのはよかった」と言うのだ。

 

これにはムスメは面喰らった。同居して介護した15年を返して欲しいとまで言っていたハハが、同居生活をよかったと言ったのだ。

ああ、もうこれでハハを止められるものが何もなくなった、とムスメは思った。

もう「息子に迷惑をかけたくない」という建前や遠慮はないのだ。混乱していく記憶の中で、同居しないムスコ夫婦がハハを満足させることはできない。仮に、同居したとしても、「私は専業主婦だったから、いつでもそばにいてあげた」と言われてしまえば、仕事を持つお嫁さんとしては返す言葉がない、つまり同居したとしてもハハを満足させることは無理なのだ。

 

ムスコ夫婦にしてみれば救いがない。何をしても同居して介護した事実に勝るものはない体。が、ハハが奪われたと思って来た15年間はこれで報われたのかもしれない。

 

だからと言って、ハハの独居生活がハハを幸せにしないことだけは確かだ。

もともと感情の起伏の激しいたちである。認知症によって感情の抑えが益々きかなくなってきた。お嫁さんが傷つかなければよいのだが、とムスメは切に願う。