minnesotakkoの日記

国際遠距離介護の記録

ハハとデイホームと老人ホーム強制入居

デイホームはすごく気に入っている。週に6日通っているそうだ。

一人で家にいると出来ないことが増えてきて自信喪失するし、寂しくて鬱々としてくるし、頼りにならないムスコ夫婦とムスメに腹が立つばかりなのでロクなことがない(とムスメが勝手に想像している)。

 

介護保険で全ては賄えないので、週2日分は実費精算になる。出費は増えるが、きちんと食事ができて、孤立することがないのはありがたい。

 

デイホームが気に入っているので、老人ホームに入居したがらないのが唯一の問題点ではある。

それでもムスコは虎視眈々と老人ホームの強制入居の策を練っている。

老人ホームに入るくらいなら死んでやるとハハは言う。

 

しかも、ムスメも老人ホームに入居してもらいたいと思っているのだ。一人ムスメだけは自分の味方になってくれる期待していたのに、あわよくば嫁に行かないムスメと同居して老後の面倒をみてもらえればいいなんて夢見ていたのに、アメリカなんかに行ってしまい、全く役に立たない。ああ、もう死にたい、というハハの悲鳴が聞こえてくる。

 

 

ハハとムスコとお金

最近は週に5日か6日デイホームに行っているらしい。らしい、というのもハハは何曜日がデイホームだかよく分かってないからだ。介護保険分は使い切っているので、残りは実費を支払っているようだ。それでも、昼食が出て、夕飯をお弁当して持たせてくれて、ハハが喜んで通っているので何よりだ。

 

今日は日曜日だったので家にいるかと電話してみたら、めちゃくちゃだった。

どうやらお金がないらしい。銀行口座にも、手元にもお金がないらしい。それが事実なのかは不明だが。食べるものも買いに行けないと言う(まあ、文句が言いたいだけで、お弁当の残りが冷蔵庫に溜まっていると先週は言っていたので、それほど心配ではないが)。

 

日曜日だというのに、デイホームからも電話がかかってきて、おそらく自動引き落としができなかったのだろう、ムスコからも電話がかかってきていて、言われていることが理解できなかったのだと思われるハハの混乱は頂点に達していた。

自分はボケてしまって何も分からない、自分はまだしっかり金銭管理ができるのにムスコが勝手に管理するから分からなくなってしまう、という二つの大波が寄せては引き、時には二つの波が衝突して大破し、せめぎ合い、その間でそのしぶきがかかってびしょ濡れになり、どうしていいか分からなくなり、全てに嫌気がさしたハハがいた。そして「もう死んでやる」と叫んで電話を切った。

 

まあ、死んでやると言われたのは一度や二度ではないし、少し時間が経てば落ち着くことは経験済みなので、いちいち気にしてはいないが、言われていい気がしないのも事実である。

元々感情の起伏の激しいハハである。認知症になり感情の抑えがきかなくなってきた。身内にはますます容赦無く思いの丈をぶつけるようになるのだろう。電話だからのらりくらりと交しているが、面と向かったら冷静に受け止められる自信がムスメにはない。

 

 

 

 

それをハハの妄想だと呼ぶのをやめることにした

ハハに入院中のチチの様子を尋ねた。

「私が行くとね、立ちあがってニコニコするのよ」と言う。これで2度目だ。(1度目のことはハハの妄想 に書いた。

 

この先、こういうことも増えるのかもしれない。元々、感情や思いの丈の激しいタイプである。今まで何とか理性で抑えてきたものが、認知症によって抑えがきかなくなってきたのだろう。ムスコ夫婦への不満も止まるところ知らずなのも納得がいく。

 

いちいちハハの言うことを訂正するのも意味がないので、余程のことでない限り、黙って聞くことしかできない。妄想と呼ばずに願望と呼ぶことにした。

チチは若年性アルツハイマーを60歳代前半で発症した。定年後、夫婦二人でゆっくり過ごしたかったハハの願望、決して叶うことのない願望だが、それを願うのはハハの自由に委せよう。

 

ハハの身が危険でなければ、それでいい。宇宙人と会ったと言われたら、ちょっと考えるかもしれないけれど。

 

 

人は他人を完全に理解することなどできない

日経ビジネスオンラインで読みました。

business.nikkeibp.co.jp

 

人は他人を完全に理解することなどできない、という箇所があって妙に納得してしまいました。そう、人は他人を完全に理解することができないのです。人は家族を完全に理解することはできないのです。

 

認知症を発症する以前から、ハハは「家族なんだから」理解できて当然、理解してもらって当然だと主張していました。理解できない家族は人非人呼ばわりされ、口汚く罵られてきました。

もし、ハハが人は他人を完全に理解することはできなくて当然と思っていたら。

家族であっても別人格の一個人だから理解することはできなくて当然だと思っていたら、もっと家族がお互いについて話し合ったのではないか。お互いの意見や気持ちを尊重することができたかもしれない。

 

結局、ハハとムスメは全く理解しあえない関係になってしまいました。

ハハはムスコのすることが全く的外れだと言い、お嫁さんはハハに対して心を閉ざしています。

 

ああ、これは母娘の呪い何でしょうか?

 

 

 

 

ハハ、強制入居か?

ムスコはもう限界だ。一日に50回も電話がかかってくる。約束は守れない。お金の管理は全くできていなくて、銀行口座は何度もマイナスになる(どうやら友人にお金を貸しているらしい)。約束をすっぽかされた相手に謝ったり、借金のやり取りの間に入ったり、銀行引き落としができなかった支払先への振り込みをしたりと、仕事の合間に尻拭いに走り回るのに疲れたと言う。そこへチチの再入院が降りかかってきた。

 

もう施設入れちゃうよ、というのがムスコの本音である。

 

ムスメの本音はハハに自らすすんで入居してほしいのだが、それは無理だろう。

今のハハには判断力も決断力もない。自分のできないことが理解できないのだ。ハハのプライドは傷つけたくはない、だが、もうとっくに独居は無理だったのかもしれないとも思う。

 

チチ、再び入院

チチが再び入院した。発熱したので病院に行ったら、低ナトリウム血症が見つかり要経過観察と検査が必要だとのこと。

 

それを聞いたハハはパニック状態になり、ムスコに30回以上も電話をしたらしい。見舞いに行くと言っていたが、それを忘れてデイホームへ行ってしまったのだとムスコはあきれていた。

 

発熱するだけの体力がチチに残されているのだと信じたい。

 

 

 

 

ハハの飲酒

デイホームがない日は、朝からすることがなくて退屈でお酒飲んで寝るという。それで夜は眠れるの?とムスメが訊けば、夜寝る前はウイスキーを飲めばすぐ眠れるから大丈夫という。

 

全然、大丈夫じゃない!と怒りたかったが、頭ごなしに否定しても何も解決しないと思ってやめた。

 

チチは退職してから朝から部屋にこもってひたすらウイスキーを飲んでいた。あの頃の悪夢が蘇る。大酒飲みが一人いるだけで、本人も周囲の人間もどれだけ苦しんだことか。

 

デイホームは気に入って通っているからそれが救いだ。