minnesotakkoの日記

国際遠距離介護の記録

ムスメの一時帰国 第一難関は四次元ハンドバッグ

ムスメは空港に着いてからハハに電話をした。さすがに今日がムスメの帰国日だとは分かっていたが、その日の夜の予定は全く把握していなかった。ともかく実家へ急いだ。

 

一年ぶりの実家は何の変化もないように見えた。とりたてて散らかっている様子もない。一年前のように「ないものをあるものにしてしまう」ようなある意味妄想チックな言動も見られない。思い込みや妄想が掛け算に増幅していくよりは、記憶が引き算で減っていくほうがムスメとしては安心だ。

 

その日の夕食はムスコ家族と会うことになっていたので、電車に乗った。

ハハの大きなハンドバッグの中には小さなポーチがいくつも入っていて、何がどこに入っているのか把握できていないのだ。パスモが必要になる度に、いくつものポーチを開けたり閉めたりしないと、パスモが出てこないのだ。

財布にいったっては、ハハ本人にとっては合理的に整理されているというのだが、複数の財布がそれぞれのポーチに入っていて、すべてのポーチを開けてみないと必要な財布が出てこないという状況になっていた。まるで四次元ポケットのようだ。

財布は普段使い用、新札用、予備費用、小銭用とある。アメリカ生活に慣れたムスメとしては、リスク分散ができていると褒めたいところだが、使うハハ本人がいちいちポーチを開けたり閉めたりしているのを見て不便ではないだろうかと思う。

 

 

ハハと日程

一時帰国の日程が決まったので、ムスメはハハにメールした。

ハハからは喜びに溢れた返信があったので、安心していた。

 

しかし、電話してみるとハハがきくのだ

「今度はいつ帰ってくるの?」

2週間後の水曜日に帰るよというと、「それはよかった」と嬉しそうだ。

 

一週間前にに電話してみると、ハハがきくのだ

「今度はいつ帰ってくるの?」

来週の水曜日に帰るよという、「それはよかった」と嬉しそうだ。

 

心配になって出発前に電話した。さすがに「今度はいつ帰ってくるの?」とはきかれなかったので安心したが、その夜にムスコ家族と食事の約束があることは覚えていなかった。

 

スケジュール管理ができていないようだ。

一時帰国が難しいものになりそうな予感がムスメを不安にした。

ハハとiPad Mini

iPad Miniだったら気軽にLineとかFace TimeとかSkypeとか使えれば、少しは気が紛れるだろうと思い、ムスコが買ってくれたけど、そもそも仕組みが理解できないようだ。タッチスクリーンはフラットで掴みどころがないのが、イライラするらしい。持っていても使えないので孫がおもちゃ代わりにしているという。

 

確かに、ムスメもタッチスクリーンは苦手だ。文字を打っているという感覚に欠けるし、スマホはもう字が小さすぎて目が辛い。

 

一度も勤めに出たことのないハハはタイプライター・ワープロ・パソコン・スマホ・タブレット端末を学ぶ機会を逸してしまった。

 

携帯電話でメールは書けるのでよしとしよう。

ムスメ、ようやく一時帰国の日程を決める

ムスメはようやく重い腰を上げて、決めた。

 

用事の間をぬって、安い時期を狙ってクリックした。出発日や帰国日が一日変わるだけで、航空券の値段も変わるのだ。色々な格安航空券予約サイトが乱立して、航空会社のサイトもあり、旅行会社のサイトもチェックしてるうちにどんどん値段が上がって行くのを目の当たりにした。3月に入ると春休みシーズンで値段が上がるのだ。

 

日本滞在は10日ほど。ハハは嬉しそうだった。ムスコは不満そうだった。滞在期間が短いからだ。

 

万人を幸せにすることはできないのだ。ハハが喜んでくれるのだったらそれでいい。

 

最近のハハと航空券

電話口ではとても元気そうだ。毎年この時期にムスメの一時帰国を心待ちしているからか。

 

まあ、一人はつまらないけど、お茶のお稽古もお料理教室もあるし、お友達も来てくれるし、だから何とかなってるから心配しなくていいのよ!

 

てな調子だったので安心していた。

 

しかし、ムスコからメールは一転して悲観的なのだった。

 

最近は死にたいコールが多いから、帰国するんだったら長期間又は今年中もう一度どこかで帰ってきてほしい、と言う。

 

ハハとムスコの言っていることが違うというのは日常的に起こるので、どちらが正しいのかと追求するのは無意味だと分かっている。

ムスメの都合も理解してもらわねばならない。航空券の値段も乱高下していて、サイトを覗くたびに日程が決められないでいる。まるでハハの気分の高低とチケットの値段が呼応しているようだ。

 

ハハ、ヨメの悪口を言う

ハハは一人で生活するのが面白くないと相変わらずだ。

 

ヨメから何の連絡もないという。

冬休みになっても子供をつれて来る事もないし、お元気ですかという電話一本くらい寄越してもこない、と不満爆発である。

 

冬休みになれば、冬期講習だの部活だの色々あるからお弁当もあるし、昼間働いてるんだからそんなヒマはないのが普通だよと言ってみたが、ムスメの話しはいつでも一方通行である。

 

ヨメというのは辛いものだ。連絡をしなかったら冷たいと言われ、やっとの思いで電話したところで、心遣いが足りないだの言葉遣いが悪いだのと揚げ足を取られ、無理して家まで来れば、箸の上げ下ろしがなってないだの、沢庵の切り方が下手だと鬼の首を取ったように蔑まれる。

 

義理の両親と同居して看取ったハハとしては物足りないのだろうが、そこは我慢してもらわねばならぬ。ヨメは家政婦でもヘルパーでもないんだから。

 

 

ハハ、すべてが面倒になる

ずっと電話していたのだが出ないので、外出する機会が増えたのだろうと勝手に解釈していた。

 

まあ、半分は当たっていて、今日久々に電話に出たハハは色々と用事があって忙しかったのだと言っていた。一人で寂しく家にいるよりいいじゃない、とムスメが返せば、すべてが面倒になっちゃって一日中寝ていたい、と言う。

 

一人でいると寂しくて人生面白くないのと、すべてが億劫で一日中寝ていたいのと、両極に振れてしまっている。一人でいれば気が滅入り、外に出れば色々と面倒なことがある。

 

どこか加減の良いところに落としどころはないものか。