minnesotakkoの日記

国際遠距離介護の記録

正月に帰って来いコールに揺れるムスメの従姉妹に相談する

前回の記事を書いた後、ムスメはイタリア在住の従姉妹と話した。

従姉妹の父は(ムスメの叔父)はチチと同年で、最近サービス付きの高齢者マンションに引っ越したばかりだ。食事サービスもあり、食堂に行けば誰かがいるし、見守りサービスもあるので厳密には独居とはいえないが、子供と同居でないという意味においてはハハとの共通点はある。

従姉妹は「私だったら(帰れるんだったら)帰るよ」と即答した。親はいつまで生きるか分からないし、正月に親を一人にしておきたくないからだという。

 

正月に帰りたくないという自分のワガママを優先するのか、それともハハのために色々とやりくりをして帰国するのか。

潔く帰れるなら帰ると言い切れる従姉妹が羨ましかった。

 

 

 

 

 

正月に帰って来いコールに揺れるムスメ

正月に帰って来てほしいというメールがムスコから来た。

大晦日まで仕事して3日から旅行に行こうと思っているけれど、一緒に来られないだろうか、という打診だった。正月という家族というものをイヤと言うほど目の当たりにさせられる時期に、ハハを一人にしておきたくないと思ってのことだった。普段つきあっている未亡人の友人たちでさえ、正月には家族と過ごすのだろう。31日までびっちり仕事をする身としては、心苦しいのだろうということは理解できた。

 

理解はできても、それは願望にはならない。

正月なんか何がめでたいのだろうか、とムスメは思ってきた。

女だから大掃除や料理に駆り出され、年賀状やら挨拶回りやら忘年会やらの手間が増え、家族や親戚がそろえば未婚の女は「なぜ結婚しないんだ」攻撃の標的になり、真面目に「おじちゃんのような人と一緒に暮らしたくないからです」などとはいえないので、ヘラヘラ笑いながらお屠蘇を飲み「私みたいなわがまま女を嫁にしたいという男性がいたらお目にかかりたい」と言うような、そして結局食べすぎ飲みすぎで終わってしまうような不毛な時期が本当に嫌いだ。全く休まらないし、かえって体調は悪くなるし、仕事始めが心底待ち遠しかった。

 

だから正月に帰って来っていと言われても、素直にうんと言えないのだ。

しかしハハがしっかりしているうちに一緒に正月を過ごすのは悪くないとも思える。

 

2月か3月あたりに一時帰国する予定でいたのだからそれを早めることは無理ではないんだが。

 

はてして、どうしたものやら・・・ 

 

 

ハハ、心療内科へ行く

落ち込みが激しい、生きていてもつまらない発言が増えてきて、ムスコが近所の心療内科に連れて行った。

大学病院の精神科はハハにとっては遠すぎたから、近所に相談できるところがあればとムスコは考えたのだろう。

 

結果は、現在かかりつけ内科医から処方されている薬が適正だからちゃんと服用するようにといわれたという。

内科医からではなくて、精神科医からはっきり言われたことで、ハハも薬をちゃんと飲む気になってくれればよいのだが。

 

服薬管理は思ったよりも難しく、その日の薬を飲んだか忘れてしまうのが問題だ。ナースの訪問は月に一度しかないから、自己管理でるか心配だったが、薬剤師が薬に日付を書いてくれたそうで、それでしばらく大丈夫だろう。

 

うつ病よりも認知症のほうが問題だとムスコは医者に言われたそうだ。心療内科としては、これ以上出来ることはないらしい。医療から介護へのシフトをしなくてはならない。

ハハ、落ち込む

電話したら、つまらない日もあるのよ、と言う。

友人と映画を観る約束をしたのに、待ち合わせ場所で会えなかったので帰ってきたという。

 

どうやら、待ち合わせの場所を間違えたようだった。結局、友人にも会えず、映画も観ずに帰ってきたのでつまらないのだと言う。雨が降っているから、地元のお祭りのお神輿も見に行けないし。

 

こういう失敗談を笑い飛ばせないのは辛いだろうなと思う。待ち合わせの場所を間違えたのがハハであっても、友人であっても。

ハハ、ヘルパーを断る

当初は週に一度ヘルパー訪問を受ける予定だった。

他人を家に入れることに慣れて欲しかったというのはムスメのたくらみだった。ムスコとの同居は現実的でないし、ムスメが帰国して(百歩譲って)同居したとしても働かなくてはならない。いつでも家族がいて介護するという状況にはできないからだ。

日常生活をみていると、掃除は辛くなってきたようだった。以前は家中はたきをかけ、掃除機をかけ、拭き掃除で仕上げていたハハも、さすがに拭き掃除はしんどくなったようだし、目も悪くなってきたのか、ホコリが目立つようになっていた。

週に一度から他人を家に入れることに慣れ、ついでに家も綺麗になれば、少しは気が晴れるかと思い、ムスメとしては名案だと思っていた。

 

が、今年一杯はヘルパーを断ったと言うではないか。

理由は、「人が来るとうっとうしいから」だそうだ。

それだけ元気だということでもあるので、よしとしなければならないのは分かっているのだが、ムスメとしては面白くない。

他人が来て、自分のしてもらいたいことを伝える練習はできなくなってしまった。

絶好の機会だと思ったのに残念だ。

 

家族であれば、掃除の仕方も、食器の仕舞い場所も説明せずにすむ。が、ヘルパーであればそうはいかない。何をどう掃除して欲しいと一から説明しなければならない。毎回違うヘルパーが来るとなればなおさらだ。それがうっとうしいのはよく分かるのだが、そこを何とか克服して、快適で自立した独居老人になってもらいたかったのだ。

 

ムスメが勝手にハハに期待していたのだ。それはハハがムスメに同居して介護してもらいたいと勝手に期待していたのと同じだ。

 

ムスコ、単身赴任

ムスメのところにムスコからメールが来た。

 

ハハの落ち込みがひどいらしく、俺が(実家に)単身赴任するしかないかな、と書いてあった。

 

時代劇でみたことのあるような台詞が頭をよぎった。

「殿、ご乱心!」

気が狂ったか、弟よ。

 

決してふざけているのではない。自分の家族をバラバラにするほどの状況ではないだろう。まだ他にできることがあるはずだ。月に1度でいいから顔を出すとか、もっと現実的なところから始めればいいのではないか?

そもそも、ハハがそれを望んだか???

 

ヨメを思えば同居は出来ず、ハハを思えば単身赴任しか策はないと思ってしまったんだろう。

職場は遠くなり、家族との時間は減り、ハハとの関係が良好に保てる保証はないとデメリットしか思いつかない。

 

ともかく、単身赴任は最終手段にキープしてもらうように返信した。

 

 

 

ムスコの反応

ムスメの提案を受けて、ムスコはひと言、(ハハが)ウィークリーマンションに入るとは思えないよね、と言った。

 

そりゃあそうだ。ワガママ放題のハハである。20平米以下のウィークリーマンションに首を縦にふるわけがない。だけど、要介護5のチチを自宅に戻すよりはよくないか?とは言いたかったけれど、言わなかった。

 

問題の本質はそこにはないのだ。チチを自宅介護するのも、ウィークリーマンションに入居するのも、所詮目くらましでしかない。ハハの気持ちに寄り添っているわけではないのだ。

結局、頻繁に連絡するようにするしかないね、ところに落ち着いた。